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ペット通信

フィラリア症

花園動物病院 犬

フィラリア症の予防薬を2024年4月17日から1ヶ月間隔で12月まで継続して投与すれば、東京における2024年のフィラリア症は完全に予防されます。

フィラリアは犬の心臓に寄生して体長10~30cmに成長します。寿命は3~4年で、その間虫体を心臓内の弁膜に絡みつけて生息するため、心機能が低下します。心臓のポンプ機能が低下するため全ての内臓に機能障害が発生します。なかでも肺の機能障害が顕著で、口呼吸、発咳などの症状が初めに発現します。数年後に腹水貯留や血尿などの症状が加わって複雑な症状が徐々に進行します。

蚊が媒介するフィラリア

犬の心臓に寄生するフィラリア(成虫)はミクロフィラリア(仔虫)を心臓内の血液中に季節と関係なく年中産出します。このミクロフィラリアは蚊によってのみ他の犬に伝播します。蚊の体内に入ったミクロフィラリアは被膜を形成して唾液腺内に潜みながら、別の犬に伝播する機会を待ちます。東京における蚊の吸血活動は3・4月から11月まで続きます。蚊の吸血活動を予防することは不可能です。犬の体内に侵入した直後のミクロフィラリアは蚊の体内で形成した被膜に守られているため駆虫薬の効果がありません。犬の体内に侵入して暫くしてから被膜を破り出て、末梢静脈から心臓を目指して血液中を泳ぎ始めます。この時期に予防薬を投与してミクロフィラリアを駆虫します。蚊の吸血活動が活発な夏までは熱心でも涼しくなってくると予防薬を投与する意識が薄れる飼い主様もいらっしゃるようです。しかし、10月から12月にかけての予防薬はワンちゃんの体内に生残して心臓に侵入しようとするミクロフィラリアを駆虫するチャンスですから確実に投与することが重要です。

フィラリア症の予防薬の種類

注射による予防薬は1年分を一気に体内に注入するため副作用が高頻度に発生しため数年前に使用禁止となりました。最近再び使用されていますが、感受性の高いワンちゃんには副作用発生のリスクが依然としてありますので、お勧めできません。現在使用されている安全な予防薬には、錠剤タイプ、頸部皮下に滴下するスポットオンタイプおよびおやつとして食べられるチュワブルタイプの3種類に大別されます。最近はフィラリアだけを対象とする錠剤タイプは人気がなく、フィラリアの他にノミ・マダニや内部寄生虫の防除に有効なチュワブルタイプに人気が集まっています。

2024年のフィラリア症の予防薬の投与時期および継続期間

蚊は空気温が14℃以上になると吸血します。気温は地上1.5mの日陰の空気温度ですから、ワンちゃんが散歩する道路や公園の地面付近の空気温度は気温より高くなります。蚊が吸血活動を開始するためには、空気温14℃以上が数時間継続する必要があります。2024年3月16日と17日の2日間連続して東京の最高気温が20℃を越えました。このため東京の今年の蚊の吸血活動は3月中旬からスタートしています。4月17日から1ヶ月間隔で12月まで継続して予防薬を投与すれば、2024年のフィラリア症予防は完璧です。

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